縦方向にまっすぐ、幾筋もの溝を走らせる太い柱が入口の中央にどっかと根をおろし、足当たりのソフトな木の床や重厚感ある木製棚、小枝のような華奢なハンガーポールやラックとともに、豊かな自然のムードを漂わせます。染めにこだわり、織りや編みに心を砕き。そうして細部に美を宿したお洋服や小物たちが、ここパラスパレスに集います。
パラスパレスといえば、デニムパンツなどのインディゴのアイテムをイメージする方は少なくないことでしょう。帰り道にふと見上げた星空の、あの吸い込まれんばかりの濃紺を写し取ったかのようなインディゴ染めのお洋服は洗うたび少しずつ色が落ち、味わいを増していく経年変化が楽しめるのも特徴の一つ。
店頭には今日もさまざまなインディゴ染めのアイテムが並び、色とりどりの紺のグラデーションで私たちの目を惹きつけます。
とはいうものの、インディゴは分かりやすい紺色に染め上げるばかりとは限りません。
「糸の束を染液から引き上げ空気に触れさせると、酸化が進んで最初は薄いブルーなのに、何度も繰り返すことで深い色になるのだそうです。そうやって染め分けた糸で織ったそれぞれの生地をはぎ合わせ、ニュアンスあるストライプを表現したのがコチラです」
と、店長が手に取って見せてくれたのは、糸から作ったガーゼ素材のギャザースカート(下段写真・上)。濃紺をベースにグリーン味のある紺色をところどころに配したタイプと、逆パターンの2タイプ。
染めの手法自体を変えたり、洗いをかけたり。染料をのせる素材や温度等の環境によってもインディゴの紺色は大きく印象を変えるそう。
なるほど。パンツとセットアップにもなる上写真のインディゴ千鳥柄のジャケットの場合、インディゴ染めの糸と染めベージュの糸で細かな千鳥柄に織り上げていることもあり、紺色はささやかな余韻を残すのみ。品名で初めてインディゴを意識する、“ほぼグレーベージュ” な仕上がりです。
カジュアル感が削ぎ落とされたこの色味なら、力の入りすぎないスーツとしてお仕事シーンでも大活躍しそうですし、何より見た目以上の軽やかさ。ジャケット疲れでお悩みの方は、パラスパレスのジャケットに一度袖を通してみてください。
アウターやワンピース、シャツやスカート、パンツまで。インディゴに並々ならぬこだわりを持つパラスパレスの “はじめの一歩” は、自分好みのインディゴのアイテムを見つけるところから。
洗濯するたび少しずつ色や風合いが変化していくその様子は、あなたとともに歳を重ねる、まるで相棒のよう。息の長~いお付き合いになりそうです。
オリジナルのテキスタイルをメインに商品を仕立てている、パラスパレス。それぞれ得意分野を持つ国内のさまざまな工場と綿密なやり取りを重ね、糸から、あるいは生地から作り上げていくことが多いのだそうですが、ここでは店長がピックアップしてくれた、より印象的な柄・質感のオリジナルテキスタイルのアイテムを例に、そのこだわりをご紹介します。
まずは、伝統的なチェック柄のようで実はパラスパレスオリジナルのチェック柄のテキスタイルを使ったこちら(↓)。肌触りのよさで知られる、いわゆるネルシャツなのですが・・・
ラフでスムースな面を表に、ネル特有の起毛感のある面は裏側に使っています。縦に二本ずつ走るネイビーのラインとヨコに渡る薄いオレンジのラインが効き、クールでマスキュリンな表情を見せつつも、小さなウイングカラーで上品&フェミニン見せも忘れてはいません。
折り返した袖口でおわかりいただけるでしょうか。起毛側の方がよりはっきりとした柄が出てくるのですが、敢えて表にスムースな面を使用したのは、パラスパレスのテーマの一つ、 “肌心地のよさ” を優先したというだけでなく、控えめな色と織り、さらに前立てを比翼仕立てにして隠しボタンにするというデザイン上の技巧を絡ませることで、スッキリとした印象を強調。裏側がチラッと見えた際のインパクトにも繋げているそうです。
続いては、雰囲気のあるオリジナルプリントが効いたこちらのアイテム(↓)を。
左のワンピースは深い森をイメージした模様を色を重ねるようにプリントした「フォレスト」という名の柄で、右側のシャツワンピースは窓辺に垂れ下がるカーテン越しの丸い葉っぱの影を表現した「ボタニカル」柄を腰下から裾もとにサラリと配し、秋の窓辺の優しい雰囲気をデザインに落とし込んだのだとか。どちらもインナー次第でシーズン長く着用できそうです。
そして、プリントではなく織りで魅せるこちら(↓)は、和歌の世界のような趣ある柄の名前にも惹かれます。
立体的でふくよかな風合いが魅力の左のスカートの柄は、「モクレンの芽」。日本有数の機どころ、群馬・桐生で織り上げたその織りだけで、柔らかい毛で覆われたモクレンの芽を表現しています。 模様部分だけが毛羽立って残るよう職人さんが専用のカッターで糸をカットして仕上げるという、手の込んだテキスタイルなのだそう。この見え方でコットン100%。ボリュームはあるものの軽さは嬉しいポイントです。
一方、前段の『インディゴ』でも寄りの画像を載せた右側のスカートの柄は、その名も「走り野菊」。秋を代表する花、菊の走りの頃をイメージし、フレッシュで若々しい雰囲気の野菊をインディゴと生成りの糸を使ってジャカードで再現。青味のグレーの、美しいテキスタイルです。
名前に込めたデザイナーさんや職人さんの想いもすべて受けとめて装いたい、そんなオリジナルテキスタイルのアイテムたち。気になったものがあったら、ぜひ店長やスタッフさんに柄の名前やその由来を尋ねてみてください。丁寧に作られたもののみが持つ、豊かなストーリーに出会えるかもしれません。
オイスターホワイトの壁にまるで絵でも飾るかのように掛けられた、スカートやカーディガン、ワンピース。大きめの平台にはそっくりそのままを着て、今すぐお出掛けしたくなるコーディネートを施されたアイテムがディスプレーされ、目移りしてしまいます。しかも・・・
周囲には、これからの時季の寒さ対策や差し色として外せない巻物、インナーに便利なタイト目シルエットの薄手のニットタートル、最後の仕上げのネックレスや帽子、シューズなど、コーディネートにプラスするとベストなスタイリングが完成しそうな脇役たちが期待感たっぷりに散りばめられて、ますますイメージが膨らみます。
「ディスプレー一式をお買上げくださるお客様もいらっしゃいます」(店長)
迷った際にはそれも一つの手ですが、オススメのショッピングスタイル、それは・・・一番気に入ったものと、比較のもう一品をまず試着。いずれかを着用したまま試着室を出たら、ここのボタンはかけるのか、外すのか。合わせるべきボトムスの太さや長さはどのバランスが最善なのか。小物はどうしよう?・・・スタッフの方にそんな質問を投げかけながら一緒に店の中を回遊し、ピンときたものをピックアップ! すでにお持ちのワードローブの情報を共有すれば、「そのワイドパンツに合わせられそうですね!」という結論に至ることも。
そんないろんなやり取りをすることで「最善の選択をしていただだきたい」(店長)との思いから、パラスパレスのフィッティングルームには実は鏡が設置されていません。
シンプルでありながらこだわりを詰め込んだこのお店のお洋服は、「ボタンはかけるのか、外すのか」・・・そんなちょっとした違いで大きく印象が変わります。鏡を見て、「似合わない…」とガッカリするのは時期尚早。着こなしのコツとコーディネートのオススメをプロに聞き、相談し、ぜひベストな選択を。
大量生産はせず、丁寧さとオリジナリティを大切にするパラスパレスは、裏地や袖口の内側など、あまり見えない部分も手抜きなし。ボタン付けが不規則だったり左右の見頃でパターンや素材、柄が違っていたりと、アシンメトリーなデザインもまた得意技の一つです。よーく見ると初めて「アレ!?」となるような、ディテールにまでこだわった物づくりをしています。
流行を追いかけることなくベーシックなデザインを基本にしつつも、毎年少しずつアップデートを行って、あれこれ合わせたくなる飽きの来ないアイテムを揃えています。
例えば・・・今までシャツを春と秋にしか着ていなかったとおっしゃるあなた。「寒くなったら、ぜひインナーにニットのタートルを入れてみてください」と、店長。春秋、インに着ていた半袖や長袖のTシャツを、冬場は薄手のニットにチェンジ。一枚では着られそうもないような、そんなタイトなシルエットのニットタートルが、こういうシーンで大活躍するのです。
季節や気温によってインナーの素材を変えれば、シャツって実は「しまい込む時季はないハズなんです」(店長)。
染め、織り、編み…さまざまな工程にこだわり、心を砕くことで細部に美を宿したこのお店のアイテムは、サラリと一枚着用してももちろん素敵だけれど、合わせ方次第でもう一段、さらにもう一段、上級者なスタイリングが楽しめます。
パラスパレスはコーディネートの楽しいお店。お洒落の秋ですし、たった一人で鏡と相談するよりも、頼りになるプロに相談!なのです☆
本館 1F
TEL:04-7137-7904